「断捨離(R)」の著者やましたひでこ先生の
こんにちは。断捨離のやましたひでこです。前回に引き続き、みなさんからの断捨離に関するご質問にお答えします。今回は「家族の断捨離をどうすればいいか」というテーマ。このご質問は、私のセミナーでも本当にたくさんいただきます。その悩みを抱えているのは自分一人じゃない、断捨離できた人たちがたくさんいると勇気を持って読み進めていってください。
Q1:私や主人の趣味の物の収納に困っています。引っ越してから8年間ダンボールに入れっぱなし。もう見てもいないのに、また新しいものを買ってきては山積み状態。捨ててと主人に言ったら、「捨てる物はない」と。「一生このままだな」とも言われ、ボーゼンとしました。(梅っこ様 他同様のご質問多数)
A1:夫婦での溜め込み。まずは、あなたから断捨離で「ごきげん」に。
夫や家族に、「片づけさせよう、捨てさせよう」と躍起になればなるほど反発をくらうもの。つまり、他者に「させる」という位置取りは逆効果。私たちは誰だって「させられる」ことは好みませんから。家庭はくつろぎの場所でもありますが、空間を巡ってのせめぎあいの場所でもあります。だからこそ、まずは自分の断捨離からスタートしましょう。「捨ててよ」「いや、捨てたくない」という繰り返しよりもその方が効果的なのです。「捨てさせよう」とか家族をなんとかすることばかりに気を取られてしまいがちですが、「自分が今できて、とるべき行動は?」と考えるのが断捨離の視点。まずはなにも言わずに、あなた自身が断捨離することで、どんどんごきげんになっていけばいいのです。まずは、これまでの連載を振り返り、クローゼットやキッチンのモノなど、つまり家族に関係なくできるモノと場所をどんどん断捨離していきましょう。心がワクワクするお気に入りだけを選び残して、自分のクローゼットの中の服や、キッチンのアイテムを一軍のものだけに絞り込んで磨き上げ、あなたを身軽にして見てください。断捨離を経て、ごきげんな状態のあなたを見ているうちに、家族が理由を聞いてきたら儲けもの。でも、しばらくはモッタイをつけてそのまま黙ってニコニコと断捨離を続けてください。何度か聞いてきて家族の関心がさらに高まってきたころ合いを見計らって、断捨離をして楽しかったこと、ごきげんになったあなたの自身の体験を話してみてください。「させよう」と思わずに。ただ、自分がごきげんでいるためにしたことを伝えるのです。きっと、「捨ててよ」「いや、捨てたくない」と言っていた時とは違うコミュニケーションができるはずです。
Q2:父と2人暮らしですが、片付けられない私に輪をかけて物を捨てられない父親。壊れたオーディオまで大事に保管しており、部屋は物置状態…黙って何かを捨てようものなら大変な騒ぎです。どうすればこのカオスから抜け出せるでしょうか。(ゴミ屋敷はイヤ様 他同様のご質問多数)
A2:相手は溜めこむことでなにかを訴えたい、満たしたい。相手の言い分に徹底的に耳を傾ける必要があります。
まず、やってはならないことは「捨ててよ」「捨てなさいよ」ということ。溜めこむことでなにかを訴えたい、なにかを満たしたいとしていることが多いので、捨てろというのは却って逆効果です。溜め込む人にとって、モノは自分の存在証明、自分の心を守る砦。だから人から「捨てろ!」と強要されるのはとても不愉快であり腹を立てるだけ。
では、どうするか。ここで断捨離セミナーの受講生で、いまは公認のトレーナー麻野ゆかりさんの実家のケースをお話しましょう。ゆかりさんは自身の溜め込み癖で家族関係がうまく行かなくなり、私のセミナーを受講された女性。断捨離を通じ自分の家庭の問題を解決し、ずっと気になっていた実家の断捨離に取り掛かった。彼女が7年ぶりに帰省すると実家は驚愕するほどの溜め込み屋敷状態に。その地域は過疎で、大型ゴミの回収システムがなく、引っ越していく人の家のモノまでお母さんが引き取っていたほど。だから実家は何世帯分もの家電や家具でいっぱい。お父様は体調を崩されていて、もう、老夫婦になんとかできる量ではなくなっていました。でも、ゆかりさんはここで「捨てなさい」とは言わなかった。彼女が捨てろと言えば、母親は心のシャッターを下ろし、受け付けなくなる。だから彼女は何十組もあった来客用の布団を見て「お母さんは、どうしてこれが好きなの?」と聞いたのです。すると若かった頃に親戚みんなを宿泊できるように布団を手配したことを、気が利いた嫁だと褒めてもらったそうなんです。それがお母様はとても嬉しかった。ゆかりさんはその話を聞いて心底「すごいね」って褒めた。モノの背景を聞いて本気で褒めることを4日間繰り返したのです。するとお母さんの気持ちが変わり始めた。そのタイミングを見計らい、押入れの片付けを提案したのです。その押入れには、子供達の昔のゲーム類が溜め込まれカビが臭っていた。なぜ捨てられないか聞くと「自分のモノじゃないから」と。だから、お母さんの目の前で子供たち<ゆかりさんの兄弟>に電話して了承を貰ってから、一気に断捨離。もう押入れの奥はびっしりとカビがついていたとか。それを見てついにお母様が「次はいつ片付けに来られる?」と。ひと月後、彼女の兄姉みんなで力を合わせ実家を断捨離。それからはお父様の食欲も復活して健康になり、家族の絆がとても温かいものになった。家族の関係が劇的に変化して、とてもうまくまわりはじめたそうです。モノの溜め込みを突き詰めていくと、そこにはかならず人の心の状態や人間関係があります。モノや部屋の状態は住む人の心の状態そのもの。ゆかりさんのお話も詳しくその経緯がわかる本が出ていますので、家族の断捨離で悩んでいる方は一度ご覧になってください。
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Profile:やましたひでこ東京都出身。石川県在住。早稲田大学文学部卒学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。断捨離は、心の新陳代謝を促す、発想の転換法でもある。全国展開している「断捨離セミナー」は、年齢、性別、職業を問わず受講者から圧倒的な支持を得ている。処女作『断捨離』<マガジンハウス>は、日本はもとより台湾、中国でもベストセラーとなり、『俯瞰力』『自在力』<いずれもマガジンハウス>の断捨離三部作他、著作・監修を含めた関連書籍は累計300万部を超えるミリオンセラー。http://www.yamashitahideko.com/
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10月 断捨離ってなに?
11月 断捨離の冬支度
12月 断捨離の大そうじ
1月 人からもらったモノの断捨離
今回で断捨離倶楽部は終了となります。
ご愛読ありがとうございました。
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(C) Daimaru Matsuzakaya